あざらしの日常

あざらしが腹を叩く片手間で書いたメモ

純粋数学でアメリカ大学院受験をした時の昔話

もう10年前の話でTOEFLなどの試験をはじめ状況は全く違うと思うが、ネットで出てくる数学でアメリカ留学した先生達は優秀過ぎて参考にならないので、凡人の一記録を残しておくことで誰かの励みになってほしい。

  

大学や学部成績

・学部はニューヨーク州立大学バッファロー校という(少なくとも当時は)英語さえクリアしていれば誰でも入れる大学に1年から在籍していた(入ってみると日本人留学生はコミカレから編入する人達が大多数ということを知った)

・GPAは全体で3.74, 数学のみだと3.94 (1年目で取った歴史やライティングの成績がD(1.0)と壊滅的であった…。上述のような教養は簡単なコミカレで専門を4年制の大学で取る方がGPAを高く保てたであろう…)

・授業を取りまくって夏学期も取っていたので2年半で卒業できる状態になったが、大学院の入学のタイミングに合わせて卒業を半年遅らせて3年で卒業した

・よく知られているとおり日本人にとっては誰でも入れるアメリカの大学の学部数学の授業は凡人にとっても簡単なので、2年目からは大学院の授業を取っていた

・3年目の卒業研究はHeegaard Floer homologyの周辺をやっていた

・2年目の終わりか3年目の頭に数学科首席のawardを貰った

 

数学コンペ

・Putnam competitionというアメリカの大学生向けの数学オリンピックのようなものがあり、大学院を目指しているアメリカの数学科の人達は受けてる人が多かったと思う

・Top500に入ると各大学に名前のリストが送られるので、まずはtop500を目指す人が多い

・3年目の結果は296位/3545、1,2年目の結果は見つからないがそれぞれ550位と400位くらいだったと思う(3年目の結果は大学院の枠を争う同学年だけなら100位くらい?)

 

TOEFL

・当時はCBTという300点満点の試験でspeakingもなかった

・数学の大学院は250点以上を要求しているところがほとんどだった

・英語(というか興味が無い分野のお勉強)が苦手だったので253点というギリギリの点数だった

 

GRE

・数学の大学院だとGREはほとんど見られないという噂を信じほとんど対策をしなかった(することに越したことはない、特にsubject)

・当時はQuantitativeとVerbalは800点満点であった(当時と今での傾向の違いは知らない)

・Qantitative: 800, Verbal: 340, Writing: 4.0

・subjectの点数は覚えていないが、undergrad directorに点数悪すぎだろとイジられたのは覚えている(6時間で12問を解くPutnam competitionと違い、公務員試験のような短時間で大量の問題を解く試験で、このタイプの試験は今でも苦手である)

 

推薦状

・卒業研究の指導教員から1通、代数の授業を取っていた先生から1通、数論の授業を取っていた先生から1通 

・推薦状では授業の成績などから、その年で1番、数年で1番、10年で1番のような評価される(内容は見られないので分からないが、数年で1番くらいの評価だったと予想している)

 

出願分野

・数学だと出願時点で純粋数学応用数学かで枠が(大まかに)分かれていることが多い

純粋数学の方が遥かにcompetitiveだが、純粋数学しか興味を持てなかったので純粋数学の方で出願した

・もちろん純粋数学がやりたくて純粋数学志望で入ったけど、入った後で応用数学の方に変える人も結構いる(逆は聞いたことがない)

 

出願結果(1年目)

・身の程知らずなのでTier 1のトップスクール(Harvard, MIT, Princeton, UC Berkeley, Stanford,...)のPh.D.プログラムだけに出願

・UPennだけwait listに入っていたが結局全滅した

 

その後…

・undergrad directorに全滅したので日本に帰って就職すると伝えたら、お前は数学を続けるべきだと説得され、授業料免除+奨学金で通っていた大学のPh.D.プログラムに入れてもらった

・上記の説得の中で、この大学ではなくもっと良い大学院に行った方が良いと思うからTier 2くらいの再出願も来年やってみなと言われた

 

2年目の出願に向けて

純粋数学だと1年目で論文書くなどしてアピールすることは不可能なので、入学早々Qualifying examを合格することを目標とした

Ph.D.プログラム入学した月のQualifying examで無事合格した(学部の時から大学院の授業を取っていたため、この時点で申請すればMasterを取れる状態となった)

・勉強している中でK理論かその周辺の代数を研究したくなったので、出願先はそのあたりをやれそうなところだけにした

 

出願結果(2年目)

合格(全てPh.D.プログラムで学費免除+奨学金付+α)

・University of Southern California (ここに進学した)

・University of Utah

・Indiana University - Bloomington

・Northestern University 

・University of Nebraska - Lincoln

 

Wait List

・UPenn (結局落ちた)

・Johns Hopkins University (USCの方が志望度が高く先に連絡が来ていたため、こちらから途中でお断りした)

 

 余談

・上の学年と下の学年に同じく大学院を目指していた日本人の数学科の人がいたが、彼らも(純粋数学をやろうとしていたこともあり)大学院に全滅していたので、僕らのような平凡な人間だとアメリカの大学からでもアメリカのPh.D.プログラムに受かるのは簡単とは言えないと思う

 

最後に

・大変とはいえ、トップスクールでなくてもアメリカのPh.D.プログラムは刺激的で勉強になったので興味のある人は積極的に出願してみてほしい

・今調べてみたら数学でアメリカの大学院の留学について書かれた良い記事があったので、こちらの方が参考になるかと思います(私より遥かに優秀な人のケースではありますが…)

https://www.math.uci.edu/~takahasy/gradschool.html